水銀灯の省エネ化【LED vs 無電極ランプ】

水銀灯の省エネ化「LED vs 無電極ランプ」

 

業務用の高出力(ハイワット)タイプの照明として日本の産業を支えてきた高圧水銀ランプ(HPMV)に、急速な省エネ化の波が押し寄せている今、水銀ランプの代替照明として脚光を浴びているのが「無電極ランプ」である。

LEDの2倍以上の寿命を持つと言われるこの照明は、水銀ランプと同じ「放電式ガラス管タイプ」の照明で、LEDの特長であるグレア(ギラギラしたまぶしさ)がほとんどない。

LED無電極ランプ・・2020年の水銀ランプ廃止を前に、消費者はどちらを選択すべきか。両者のメリット・デメリットを正しく理解する為、2つの機器の持つ特性を比較した。

 

 

無電極ランプとは

2010年~2020年までの10年間は、照明業界にとって革命とも呼べる変革期と言えるだろう。

2000年以降、地球温暖化対策として温室効果ガスの削減が急務となり、さらには2010年に開始された水銀条約交渉の合意を受け、国内の電気メーカーは急速にLEDの技術を発展させ、また行政の施策や補助金等がその普及を後押しした。

その甲斐あって、LEDの費用対効果は数年前と比べ飛躍的に高まり、また今や日本製(国産)LEDの品質の高さは、LEDブーム初期に乱立した海外輸入の粗悪品を、わずか数年という期間で淘汰するに至っている。この躍進力はまさにメイド・イン・ジャパンの底力と言えるだろう。

だが一方で、まだ課題も多く残されている。家庭や店舗等で使用されている白熱球蛍光灯(低出力照明)のLED化が進む一方で、工場や倉庫などの高天井に使用されている水銀ランプ(高出力照明)のLED化は、ほとんど進んでいないのが現状だ。

 

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水銀ランプを使用している工場

 

 

水銀ランプのLED化が進まない理由①

LEDの価格が高い

理由は様々だが、水銀ランプから置き換えの利く高出力(ハイワット)タイプの業務用LEDは、まだまだ価格が高い。照明の数も多い上写真の様な工場や倉庫では、どうしても初期費用(イニシャルコスト)が高くなるため、費用対効果の面で採算が合わないケースが多い。

 

水銀ランプのLED化が進まない理由②

LEDの特性上の課題

LEDのモジュールは熱に弱いため、常に高い放熱性を保つ必要性がある。特に高出力(ハイワット)のLEDは発熱量も多くなるため、表面をカバー等で覆う事ができず、LEDの特有のグレア(ギラギラとした眩しさ)を直接目に受ける事となる。実際に体験した者なら分かるだろうが、このLEDのグレアは使用者にかなり強い違和感を与える。

 


 

-この様な背景の中、今注目を集めている照明がある。

「無電極ランプ」という名前を聞いた事があるだろうか。聞きなれない名前のこの照明は、海外では広く一般に流通しており、何とこの無電極ランプの寿命はLEDよりもはるかに長いのである。しかも水銀ランプと同じ放電により発光するガラス管タイプの照明で、LEDの様なグレアもほとんどない。

 

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国産の無電極ランプ

 

インバーターで発生させた高周波により放電するこの無電極ランプは、フィラメント(放電により消耗する部位)等の消耗部位を持たない為、長年使用してもほとんど光量が落ちないのが特長だ。

おまけに水銀ランプの30%程度の電力で同等の光量を発光する事ができ、LEDと同等クラスの省エネ効果が期待できるのである。

この様に優れた性質を持つ無電極ランプではあるが、なぜ日本ではあまり認知されていないのであろうか。

 

 

無電極ランプが認知されにくい理由①

日本の主要電機メーカーが製造を行っていない

現在、日本の主要電機メーカーはLEDの技術改良に力を入れており、トップランナー制度に基づいた技術競争の最中にある為、一から商品開発を行う必要のある「無電極ランプ」の製造はリスクやコストの採算が合わない。現在、国内で販売されている7割以上の無電極ランプは、海外輸入品またはOEM生産により製造されたものである。

 

無電極ランプが認知されにくい理由②

家電量販店などで流通していない

LEDとは違い水銀ランプの代替に限定される無電極ランプの設置には電気工事等が発生する為、店頭販売やネット販売がなされていない。当然の事ながらTVコマーシャル等の宣伝告知も行われない為、一般消費者からはほとんど認知されていない。

 

無電極ランプが認知されにくい理由③
日本の法律が他国に比べて厳しい

「メイド・イン・ジャパン」ブランドは、厳しい認可基準の賜物であるのだが、取り分け高周波を発生させる機器類については、総務省が定める電波法に則った製品である必要がある。総務省認可(型式指定)を受けていない機器類を使用すると、計器異常などを引き起こす可能性があるのだが、この型式指定を受けるには一定以上の期間とコストをかけ、厳しい総務省の検査に合格する必要がある為、製品化されてから世に出るまでには時間がかかるのである。

 

 

では今後、水銀ランプからの省エネ化を進めていくにあたって、消費者はLED無電極ランプのどちらを選択していくべきか。以下の表は水銀ランプを基準とした、両者の性能比較である。

 

水銀ランプ/高天井LED/無電極ランプ <性能比較表>

 

※オレンジ色が優位

 
水銀ランプ
高天井LED
無電極ランプ
省エネ効果水銀灯を基準とする▲45%~▲25%▲40%~▲30%
定額寿命12,000時間40,000時間100,000時間
点灯所要時間4分~10分瞬時瞬時
発光時最大温度300℃以上60℃(LEDは熱に弱い)80℃
演色指数(Ra値)40Ra70Ra85Ra
発光部位ガラス管ダイオード素子(チップ)ガラス管
器具の重量水銀灯を基準とする非常に重い水銀灯と同等
光の性質LEDとLVDの中間点光源/直線的/眩しい面光源/空間的/柔らかい
有効設置高さ天井高5m~15m天井高7m~20m天井高5m~10m
光源色4100K(白色)バリエーションが豊富5000K(昼白色)
保有水銀量30mg~40mg0(なし)4mg以下

 

 

…いかがだろうか?

こうして比較して見ると、「どちらがより優れているか?」と言うよりも、両者の特性や違いをしっかりと理解し、「使用場所や用途に合わせてどちらを選択する方が適正か」が大切であると言えるだろう。

LEDのメリットは何といってもその多様性だ。一般家庭~業務用まで幅広いニーズに対応している事はもちろん、イルミネーション電飾、液晶、電子看板など、その用途は今後もますます広がりを見せるだろう。

一方の無電極ランプも水銀ランプからの交換においてはLEDに勝るとも劣らない優れた特性を持っている事が分かる。

2020年までに早急な対策が求められている水銀ランプの省エネ化、今後この無電極ランプがどこまで推進できるかが、大きな注目を集めそうだ。

 

特徴まとめ

 

LEDの特性から考えるメリットとデメリット
  • 白熱球や蛍光灯(低出力照明)の交換に優れている
  • スポットライトや投光器など決まった場所をピンポイントで照射するのに向いている
  • 15m以上の遠距離照射にも対応できる
  • グレア(ギラギラとした眩しさ)が強い

 

無電極ランプの特性から考えるメリットとデメリット
  • 水銀ランプ(高出力照明)の交換に優れている
  • 天井付ベース照明など広範囲を均一に照射するのに向いている
  • 15m以上の遠距離照射には対応できない
  • グレア(ギラギラとした眩しさ)が少ない

 

今回は変革期の渦中にある照明業界を背景に、LED無電極ランプという2つの照明機器の特性を比較した。両者のメリット・デメリットをしっかりと理解し、適正な照明選びの参考になれば幸いだ。

 


【参考サイト】

たった1分でできる【無電極ランプの交換シミュレーション】
無電極ランプの総合サイト【アース情報システム株式会社|無電極ランプ【エコ光】

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