水銀灯の代替照明として注目されている無電極ランプは、水銀灯の30%の消費電力で同じ明るさを出す事ができます。これにより400Wの水銀灯を120W~150Wの無電極ランプに交換する事が可能となります。
水銀灯400W×24台 |
無電極ランプ120W×24台 |
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(1)人間の感じる視覚的な明るさ
(2)ランプが発する光の量
(3)照度計で計測する照度値
このうち照明を新たに購入する際や交換する際、明るさの基準になるものが(2)で、光束値=lm(ルーメン)という単位で表します。各照明ごとに製造メーカーが測定したルーメン値が表記されています。
また(3)は、照明の有無に関わらず、照度計を任意のポイントに設置し、その測定地点(通常は床面)の明るさを計測したもので、照度=lx(ルクス)という単位で表されます。
一般的にはルーメン値の高い照明をたくさん付ければ、当然ルクス値も上がり、部屋が明るくなる訳ですが、実は(1)人間の感じる視覚的な明るさには、ルーメン値とルクス値だけでは測れない様々な要素が絡んでいる事が分かっています。
部屋1 |
部屋2 |
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2つの部屋を見比べた時、人間の感じる視覚的な明るさでは、部屋2の方が明るく見えるでしょう。しかし2つの部屋の明るさをルクス値で見ると部屋1の方が明るい事が分かります。これは照度計が床面の照度を計測しているのに対して、人間の視覚は空間全体の照度を識別している為です。この空間全体の照度について、パナソニックが従来のlxに変わるFueという単位を定めています。lx値よりもFue値の方が実際の明るさに近いと言えます。同等の光束値(ルーメン値)で比較した場合、360°配光の無電極ランプは指向性の強いLEDよりもよりFue値が高くなります。
瞳孔の可視波長帯域 |
通常、我々が目にしている光には波長と呼ばれる波があり、波長の長さによって色が変わります。人間の目に見える光(可視光線)は400nm~800nm程度ですが、このうち人間の目に明るさとして認識される波長(可視波長帯域)は550nmでピークとなります。 |
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無電極ランプの光の波長 |
LEDの光の波長 |
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無電極ランプの光の波長帯域を見ると、ちょうど550nmがピークである事が分かります。一方LEDの光は450nmあたりが最も高く、この帯域の光をブルーライトと呼びます。ブルーライトは刺激が強く、長時間浴びると視力低下や眼精疲労の原因となる事が大きく問題視されています。 |
無電極ランプの光は、人の目に明るさとして認識されやすいために、照明メーカーが設定している光束値=lm(ルーメン)以上に「実際の明るさ感」を得る事ができるのですが、この「実際の明るさ感」を示す新たな基準として登場したのがPlm(Pupil lumens:瞳孔ルーメン)です。
このPlm値は、それぞれの照明が持つlm値(全光束)に、照明ごとに「瞳孔から吸収される比率(瞳孔指数)」を掛け合わせて計算されます。
Plm(瞳孔ルーメン) = lm(全光束) × 瞳孔指数
各照明の「瞳孔指数」と「明るさ感」の関係は以下の通りです。
照明 | 消費電力 | 全光束(lm) | 瞳孔指数 | 有効光束(Plm) | 照度減衰率 | 2年後の有効光束(Plm) |
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水銀灯 | 400W | 22,000lm | 0.85 | 18,920Plm | 年間-35% | 8,000Plm |
メタルハライドランプ | 250W | 22,000lm | 0.90 | 19,800Plm | 年間-40% | 7,100Plm |
LED | 120W | 17,000lm | 1.20 | 20,400lm | 年間-10% | 16,500Plm |
無電極ランプ | 120W | 12,000lm | 1.80 | 21,600Plm | 年間-5% | 19,500Plm |
無電極ランプは全光束(lm)は低い照明ですが、明るさとして認識されやすい光であり、実際の明るさ感に近い有効光束(Plm)が高くなります。また定額寿命がLEDの2倍である無電極ランプは、2年間使用してもPlmが殆ど落ちません。より長く明るさを維持する事が可能です。